上司と部下の信頼関係構築のコツを知る<第2回> ~ 一緒に働く部下との深い信頼関係構築に必要な“部下が感じる価値要因”【基本的要因】編 ~

前回のコラムでは、上司と一緒に働く部下との間に、より深い信頼関係が構築されることで、部下の「成長意欲」と「組織への貢献意欲」が醸成される。その関係性が組織の中にたくさん築かれてくると“成長したい・貢献したい“という社員が増え、結果、「社員から選ばれる(エンゲージメントの高い)企業」になる、という考え方を整理した、弊社独自の「インナーコミュニケーションメソッド」について、ご紹介しました。(下図参照)

今回はこのうち、「信頼関係構築において、必須事項といて欠かすことなく、実践しなければならない要因」として定義している【基本的要因】の実践ポイントをご紹介いたします。

一緒に働く部下との深い信頼関係構築に必要な“部下が感じる価値要因【基本的要因】”

部下との深い信頼関係を構築する上で、いかなるコミュニケーションの場において、欠かすことなく実践しなければならない要因を「基本的要因(レベル1~3)」と定義し、以下の通り整理しています。(下図参照)
今回は、レベル1~3それぞれの要因についての実践ポイントをご紹介いたします。

1: レベル1「基本姿勢」

部下との円滑な人間関係を築く上で土台となる、基本的な姿勢として、5つの要因にまとめています。
ここでは、5つの要因それぞれの実践ポイントについて、ご紹介します。
部下との日頃のコミュニケーションにおいて、実践できているかどうかを、チェックしてみてください。

「礼儀」・・・どんな相手にも、礼儀正しく接している(身だしなみ・表情・立ち居振る舞い)
「公平性」・・・どんな相手にでも、えこひいきせず、公平に接している
「親しみやすさ」・・・柔和な表情やアイコンタクトなど、部下から話しかけやすい雰囲気を作っている
「声掛け」・・・部下に対して日頃からあいさつをはじめとする声掛けを交わしている
「言葉づかい」・・・部下を一人の社会人として尊重し、適切な言葉づかいで接している

ここでご紹介した内容は、当たり前の項目ばかりかも知れませんが、常日頃から、実践できていますでしょうか?
部下のみならず、様々な相手との信頼関係構築において、「常日頃から、当たり前のように実践できていること」が求められる要因ではないかと考えます。

・忙しい時は、つい厳しい表情となり、周囲から声を掛けることが憚られるような雰囲気を出してしまって
 いる・・・
・親しみの気持ちから、つい、ぞんざいな言葉つがいで接してしまっている・・・ 

これらは、私自身も振り返るとつい、おろそかになってしまっている要因でもあります。
こうした基本姿勢は、部下は常に見ている、ということを忘れずに、実践したい要因ですね。

2:レベル2「関係構築」

部下との関係構築を図る上で必須で、常に実践し続けたい要因として、4つにまとめています。

「傾聴」・・・部下の話に耳と目と心を傾けている
「迅速」・・・部下の要望に迅速に反応を示し、対応をしている
「約束順守」・・・部下と約束したことを守っている
「伝達力」・・・部下が理解しやすい言葉、内容で説明している

この4つの要因についても、「常日頃から、実践し続けている」ことが望ましい内容かと思います。

・部下から相談を受けた際、たまたま自分自身が忙しい状況であったため、目を合わせることなく、適当に
 あしらってしまった・・・
・部下から質問された内容について、即答できなかったため、調べて回答すると約束していたのに、失念し
 てしまった・・・
・部下へ説明する際、事前準備する時間がなかったため、説明しても支離滅裂になってしまい、多くの質問
 を受けてしまった・・・

これらは、私自身の行動を振り返ると、やってしまっていた経験ですが、皆さんはいかがでしょうか?
部下との深い信頼関係の構築にあたり、この4つの要因は基本として、どんな状況であっても実践し続けたい要因かと思います。

3:レベル3「協働意識」

お互いを尊重しながら、対等な立場で協力して働くことができるようにするために、実践したい要因として、5つにまとめています。

「情報共有」・・・組織内において必要な情報を部下全員に対して分け隔てなく共有している
「時間管理」・・・業務過多にならないよう適正な業務時間になるよう確認、支援、調整をしている
「業務助言」・・・部下の状況に合わせて、業務の指導や支援、最適な助言をしている
「承認」・・・成果への賞賛、課題への助言など、部下の成長に資する承認をしている
「率先垂範」・・・部下に求める事柄に対して、私自らが先頭に立ち模範を示している

この5つの要因は、部下が仕事を進める上で、上司から適切な支援や助言を行うことで、成果を出すことができるようにするために、上司として、部下に実践したい項目をまとめています。

・依頼しやすい部下に仕事を依頼がちで、同じ部下でもメンバーにより仕事が偏ってしまっている・・・
・部下に指示を出すことが中心で、指示した内容がきちんと遂行されているかどうかの確認のみに終始し、
 「褒める」「助言する」といった、部下の支援をする、という意識が欠けてしまってた・・・
・部下より相談を受けた内容に関して、自身がこれまで経験したことがない事柄であったため、業務指示の
 みで終わってしまい、自分自身で「やって見せる」をいうことができなかった・・・

自分自身が「余裕がない」「経験が浅い」状況であったため、部下の状況に関心を寄せることができず、適切な助言や承認ができなかった、ということはありませんか?

部下に関心を寄せ、お互いを尊重しながら「協働」していく意識を持ち、実践することができるよう、この5つの要因の実践ポイントを参考にしていただければ幸いです。

日頃から「部下とのコミュニケーションに悩んでいる」という方、また「組織全体のチームワークや管理職のパフォーマンスに課題感を感じている」企業のご担当者様は、まずは上記の「基本的要因」に関して、自身の実践状況を振り返る、組織の状態を想像する、などを行ってみてください。
何らかの気づきがあれば、その点を改善する取り組みを行うことがポイントです。
現在お持ちの課題に、何らかのヒントとなりましたら幸いです。
(弊社ではメソッドを活用したマネジメント研修やコンサルティングも行っておりますので、ご相談を承ることも可能です)。

HRコンサルティング事業局
チーフコンサルタント 佐藤 昌弘

大手コンビニエンスストアで店長を経験後、新入社員や中途入社社員の教育・研修を担当。その後、外資系保険会社で営業活動に従事したのち、大手銀行で生命保険販売推進責任者として保険販売指導を担う。JCDに入社後、現在は企業向けコンサルタントとして活動している。
 

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