「急激な人材不足により事業遂行そのものに支障をきたしている」などといった声が多数の企業様から寄せられています。そこで、本シリーズでは、人材の採用や定着について、色々な角度から考察をしてまいります。
第1回目は、採用活動のトレンドと改善のポイントです。
各社におかれましては、人材を採用するために、経済的待遇の改善、求人チャネルの拡大など、多様な取り組みを実施されていらっしゃると思います。しかし、この人材不足はあらゆる業界で発生しているため、経済的待遇の改善も求人に繋げられるほど相対的な改善は見込めず、求人チャネルの拡大も各社が利用しているため、同様に差別化になり切らない状況です。今後の中でも様々に触れさせていただく予定ですが、1回目は「自社が昨今のトレンドと比較して遅れている改善ポイントがないか」を考えてみます。
1)採用リードタイムの短縮化
応募から面接、採用までの期間をいかに短縮化するかが現在の採用市場では生命線となります。応募に対する反応、面接までの期日や面接の回数などを、いかに短期間で実施できるか、求職者にストレスを与えない対応がポイントです(特にキャリア採用の場合)。
2)採用基準の見直し
有効求人倍率が“1.0”を上回ると「売り手市場=求職者有利の状況」と言われている中、厚生労働省の令和6年4月の統計では、全産業平均が“1.26”ですので、その高さが際立っています。このような状況において人材を採用するには「求める人材像」そのものを見直し、採用後に「求める人材像」へ近づける取り組みを強化することにシフトしなければなりません。
3)営業力のある社員を採用業務へシフト
人材を確保できているか否かが安定運営・稼働率向上・新規開業の推進に大きく関係する状況です。顧客獲得においては市場が活性化している中で、獲得営業の難度は下がってきていることも踏まえると、いかに求職者の心をつかみ、自社に来ていただけるかが重要です。また、採用もデータマーケティングが必要になっているため、営業力が一番求められる業務になっています。
人材不足は、この先も恐らく続いていきます。採用自体も、(優秀な)人材確保をいかにするか、という営業的な側面がますます強くなっていきます。従来、会社として考えている採用担当者、基準、スケジュールなどを、先例に捕らわれず、試行錯誤しながら、臨機応変に見直すことが重要と言えるのかもしれません。
HRコンサルティング事業局
シニアコンサルタント 内倉 広輔
1999年に大手人材会社に入社し、営業所長、エリア長、営業部長を歴任。その後、エンジニア系人材会社の代表取締役社長を務めた後、2006年JTBモチベーションズ入社。コンサルティングチーム責任者を経て、2009年よりホスピタリティマネジメント事業開発に携わり、JTBコーポレートソリューションにてホスピタリティマネジメント事業部長に就任。更なる事業拡大およびツーリズム業界の人材不足課題解決を図るため、2018年からホスピタリティアウトソーシング事業開発に着手し、2019年にJTB・ワールドホーディングスの合弁にてツーリズム業界向け人材ソリューション会社「JWソリューション」を設立(COO 取締役常務執行役員)。2024年9月より現職。
企業への導入事例から学ぶ
インナーブランディング活動の具体的な進め方
JTBデザインコミュニケーションが実際にコンサルティングしているA社を例に、実際にインナーブランディング活動を取り入れた事例を資料としてまとめました。 今後インナーブランディング活動を取り入れる上での参考となるはずです。ぜひご一読ください。
- 人と組織
- 2025/06/24