エンゲージメントスコアとは?意味と測り方、低い場合の改善方法を解説

2026/07/28

エンゲージメントスコアとは?意味と測り方、低い場合の改善方法を解説

エンゲージメントスコアは、従業員の組織に対する愛着や貢献意欲を数値化した重要な指標です。
このスコアの意味を理解し、適切な測り方で測定・分析することで、組織が抱える課題を可視化できます。

スコアが低い場合は、その原因を探り、適切な改善策を講じることが、離職率の低下や生産性の向上につながります。

この記事でわかること
・ エンゲージメントスコアの基本的な意味と重要性
・ スコアが低下する主な3つの原因
・ 現状把握に役立つエンゲージメントサーベイの種類
・ スコア向上のための具体的な改善策と成功のポイント

まずは基本から解説!エンゲージメントスコアとは

エンゲージメントスコアは、組織の健全性や成長性を測る上で欠かせない指標です。
このスコアは、従業員一人ひとりが仕事にどれだけ情熱を注ぎ、自発的に会社へ貢献したいと考えているかを示します。

ここでは、エンゲージメントスコアの基本的な意味や、学術的な概念であるワークエンゲージメントとの関連性について解説します。
従業員エンゲージメントとワークエンゲージメントについては「従業員エンゲージメントとワークエンゲージメント、カスタマーエンゲージメント」で詳しく紹介しています。

従業員の貢献意欲や組織への愛着を数値化した指標

エンゲージメントスコアとは、従業員が所属する企業に対して抱く「信頼」「愛着」「貢献意欲」などを数値化した指標です。
このスコアが高い状態とは、従業員が企業のビジョンや目標に共感し、自身の業務に誇りとやりがいを感じ、組織の成功のために自発的に行動しようとしている状態を意味します。
単に仕事に満足しているだけでなく、組織と従業員が一体となって成長を目指す関係性を示す重要なデータとして活用されます。

「従業員満足度(ES)」とは何が違うのか?

エンゲージメントスコアと従業員満足度は、似て非なる指標です。
従業員満足度は、給与や福利厚生、労働環境といった待遇面に対する従業員の「満足度」を測るもので、どちらかといえば受動的な指標です。

一方、エンゲージメントスコアは、企業の理念やビジョンへの共感に基づき「自発的に貢献したい」という能動的な意欲を測ります。
満足度が高くても必ずしも貢献意欲が高いとは限らず、両者を比較・分析することで組織の状態をより深く理解できます。

なぜ今、エンゲージメントスコアが重要視されるのか

現代のビジネス環境において、エンゲージメントスコアが重要視される背景には、人材の流動化や価値観の多様化があります。
終身雇用が当たり前でなくなった今、企業は従業員に選ばれる存在でなければならず、その魅力の指標としてエンゲージメントが注目されています。
エンゲージメントスコアが高い組織は、離職率が低く、優秀な人材が定着しやすい傾向にあります。

また、従業員の主体的な行動が生産性や顧客満足度の向上、ひいては企業業績の向上に直結するため、経営戦略上の重要指標と位置付けられています。

日本企業のエンゲージメントスコアの平均と現状

日本のエンゲージメントスコアは、国際的に見て低い水準にあるのが現状です。
米ギャラップ社の調査によると、日本の「熱意あふれる社員」の割合は世界平均を大きく下回っており、多くの企業で従業員のエンゲージメント向上が課題となっています。
ただし、スコアの絶対値だけで判断するのではなく、自社の過去のスコアや業界平均との比較が重要です。
これらのデータを比較分析することで、自社の立ち位置を客観的に把握し、改善の目安とすることが可能です。

エンゲージメントスコアが低下する3つの主な原因

エンゲージメントスコアが低い状態を放置すると、組織の活力は失われ、業績にも悪影響を及ぼしかねません。
スコア低下の背景には、複合的な要因が絡み合っていることが多く、表面的な事象だけでなく根本原因の分析が不可欠です。
ここでは、スコアが低下する主な原因を3つの側面に分けて解説します。

原因①:キャリアパスが見えず、正当な評価をされていないと感じる

従業員が自らの成長を実感できず、将来のキャリアパスを描けない状況は、エンゲージメントを著しく低下させます。
また、自身の働きや成果が正当に評価されていないと感じることも、モチベーションの低下に直結します。
評価基準が曖昧であったり、フィードバックが不十分であったりすると、従業員は「会社は自分を見てくれていない」と感じ、貢献意欲を失ってしまうのです。

公平で納得感のある人事評価制度の欠如は、低いエンゲージメントの大きな原因となります。
従業員のモチベーションについては「やる気分析システムMSQ診断」で詳しく紹介しています。

原因②:職場の人間関係が悪く、コミュニケーションが不足している

上司や同僚との人間関係は、エンゲージメントを左右する重要な要素です。
高圧的なマネジメントや、同僚間の協力体制の欠如、ハラスメントなどは、職場の心理的安全性を脅かし、従業員の意欲を削ぎます。
また、業務上の情報共有不足や対話の機会が少ないことも、孤独感や不信感を生み出す原因です。

コミュニケーションが不足している職場では、従業員は安心して意見を言えず、エンゲージメントが低い状態に陥りがちです。

原因③:会社のビジョンや理念に共感できていない

従業員が会社の掲げるビジョンや理念に共感できない場合、仕事の意義を見出しにくくなります。
自分の仕事が会社の目標や社会貢献にどう繋がっているのかが不明確だと、日々の業務は「やらされ仕事」になりがちです。
経営層が発信するメッセージが現場に届いていなかったり、ビジョンと現場の業務内容が乖離していたりすると、従業員の心は会社から離れていきます。

エンゲージメントが低い組織では、こうした理念の不一致が見られることが少なくありません。

自社のエンゲージメントスコアを測定する具体的な方法

自社のエンゲージメントスコアを正確に把握するためには、適切な測り方で調査を行う必要があります。
測定方法にはいくつかの種類があり、それぞれの特徴を理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。
代表的なエンゲージメントサーベイの種類や、調査項目、スコアの計算方法の考え方について解説します。

年1回など定期的な現状把握に適した「エンゲージメントサーベイ」

エンゲージメントサーベイ(またはセンサスサーベイ)は、年に1〜2回実施し、組織全体の健康状態を多角的に把握するための詳細な調査です。
質問項目が多く、職場環境、人間関係、キャリア、経営への信頼など、エンゲージメントに影響を与える様々な要因を網羅的に測定します。

この調査により、組織全体の強みや課題を詳細に分析でき、中長期的な人事戦略や組織開発計画の策定に役立ちます。
サーベイ活用については「サーベイ活用によるエンゲージメント向上のカギ」で詳しく紹介しています。

月1回など高頻度で実施し、変化を素早く察知する「パルスサーベイ」

パルスサーベイは、「脈拍(パルス)」のように短期間で組織の状態を測るための簡易的な調査です。
数問から十数問程度の少ない質問項目で、週に1回や月に1回といった高頻度で実施します。
これにより、新たな施策の効果測定や、職場環境の変化、従業員のコンディションの変動などをリアルタイムに近い形で把握することが可能です。

現場レベルでの迅速な課題発見と改善アクションにつなげやすいのが特徴で、エンゲージメントサーベイと組み合わせることで、より効果的な分析ができます。
パルスサーベイについては「サーベイ活用によるエンゲージメント向上のカギ Vol.3」で詳しく紹介しています。

エンゲージメントスコアを向上させるための5つの改善策

エンゲージメントスコアを測定した後は、結果を分析し、具体的な改善策を実行に移すことが不可欠です。
スコアを向上させるためには、組織全体で取り組むべき多角的なアプローチが求められます。
ここでは、エンゲージメントを高めるための代表的な5つの改善策を紹介します。

改善策①:企業の理念やビジョンを従業員に浸透させる

企業の存在意義や目指す方向性を従業員と共有し、共感を育むことは、エンゲージメント向上の土台となります。
経営層が自らの言葉で繰り返しビジョンを語り、全社集会や社内報などを通じて浸透を図る活動が有効です。

また、日々の業務とビジョンのつながりを具体的に示すことで、従業員は自らの仕事の意義を再認識し、貢献意欲を高めることができます。

改善策②:1on1ミーティングで部下との対話を増やす

上司と部下の定期的な1on1ミーティングは、信頼関係を構築し、エンゲージメントを高める上で非常に効果的です。
業務の進捗確認だけでなく、部下のキャリアプランや悩み、コンディションについて対話する時間を設けます。
上司が部下の話に耳を傾け、適切なフィードバックや支援を行うことで、部下は「自分は大切にされている」と感じ、組織への帰属意識が強まります。

改善策③:従業員の成長を後押しするスキルアップ支援を行う

従業員の成長意欲に応え、キャリア開発を支援する体制を整えることも重要です。
個々のスキルや目標に合わせた研修プログラムの提供、資格取得支援制度の導入、挑戦的な業務を任せる機会の創出などが挙げられます。

会社が自己成長に投資してくれると感じることで、従業員は仕事へのモチベーションを高め、長期的な貢献を考えるようになります。

改善策④:納得感のある人事評価制度を構築する

従業員が自身の貢献に対して正当な評価を受けていると感じられることは、エンゲージメントの維持に不可欠です。
評価基準を明確化し、全従業員に公開することで、評価プロセスの透明性を高めます。

また、評価結果のフィードバック面談を丁寧に行い、良かった点と今後の課題を具体的に伝えることで、従業員の納得感を醸成し、次の成長へとつなげます。

改善策⑤:柔軟な働き方を導入し労働環境を整える

従業員一人ひとりのライフステージや価値観に合わせた、柔軟な働き方を提供することもエンゲージメント向上に寄与します。
リモートワークやフレックスタイム制度、時短勤務などを導入し、仕事と私生活の両立を支援する環境を整備します。
働きやすい環境は、従業員の心身の健康を保ち、仕事への集中力や生産性を高める効果も期待できます。

改善策を成功させるために押さえておきたい3つのポイント

エンゲージメントスコアを向上させるための施策は、ただ実行するだけでは十分な効果が得られない場合があります。
改善策を成功に導くためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、施策の効果を最大化し、持続的なエンゲージメント向上を実現するための3つのポイントを解説します。

ポイント①:管理職の部下に対するマネジメントスキルを向上させる

従業員のエンゲージメントに最も大きな影響を与えるのは、直属の上司の存在です。
そのため、改善策を成功させるには、管理職のマネジメントスキル向上が不可欠です。
部下の話を傾聴する力、適切なフィードバックを行う力、個々の強みを引き出し成長を促すコーチング力などを高めるための研修を実施します。

現場のマネジメントが変わることで、施策の効果は飛躍的に高まります。

ポイント②:一度きりでなく継続的にスコアを測定・分析する

エンゲージメントの向上は、一度の調査や施策で完結するものではありません。
組織の状態は常に変化するため、定期的にスコアを測定し、その推移を分析することが重要です。
実施した改善策がどのような効果をもたらしたのかをデータで検証し、次のアクションプランに活かすというPDCAサイクルを回し続けることが、持続的な組織改善につながります。

ポイント③:調査結果を従業員にフィードバックし、対話の機会を設ける

調査を実施した後は、その結果を従業員に誠実にフィードバックすることが不可欠です。
「調査しても何も変わらない」という不信感を生み出さないためにも、組織全体の傾向や今後の改善方針を共有します。
さらに、部署やチーム単位で調査結果について話し合い、自分たちの職場の課題や改善アイデアを考えるワークショップなどを開催することも有効です。

従業員が当事者として改善活動に参加することで、組織全体の一体感が醸成されます。

組織課題の可視化から解決までを支援する組織開発サーベイ「WILL CANVAS」

「WILLCANVAS」は、組織や人材が抱える課題を可視化し、その解決までをワンストップで支援するJTBコミュニケーションデザイン独自のエンゲージメントサーベイです。
このサーベイは、組織のパフォーマンスに影響を与える「ビジョン」「風土」「労働環境」「各種制度」「人材活用」という5つの内的要因を分析します。
これにより、組織の状態を purchase 的確に把握し、効果的な改善策の立案をサポートします。

多面的な分析と専門コンサルタントによる提案で、本質的な組織変革を実現します。
従業員エンゲージメントについては「従業員エンゲージメントサービス」で詳しく紹介しています。

エンゲージメントスコア向上のための施策事例

エンゲージメントスコアを向上させるためには、自社の課題に合わせた具体的な施策を展開することが重要です。
ここでは、JTBコミュニケーションデザインが支援した企業の中から、実際にエンゲージメントを高めることに成功した2つの事例を紹介します。

【西武ホールディングス様】グループビジョン浸透と定点調査で組織を活性化

西武ホールディングス様では、グループビジョンの浸透度を測るための定点調査に、組織開発サーベイ「WILLCANVAS」を導入しました。
従来の紙媒体での調査からWEB調査に切り替えたことで、調査から経営層への報告までのサイクルが3ヶ月も短縮されました。
これにより、迅速な課題把握と次のアクションプラン策定が可能になっただけでなく、各社の推進担当者間の連携も強化されました。

調査結果を基にした施策の実施により、職場の一体感を醸成し、組織全体の活性化に成功しています。
JTBコミュニケーションデザインの従業員エンゲージメント事例については「JTBコミュニケーションデザインの従業員エンゲージメント事例」で詳しく紹介しています。

【東日本旅客鉄道株式会社様】管理者層の意識変革を促すワークショップでエンゲージメント向上を実現

東日本旅客鉄道株式会社では、特に部下指導の中核を担う管理者層のエンゲージメント向上に注力しました。
単なる知識のインプットに留まらず、「体験」と「対話」を重視したワークショップ形式の研修を実施。
自社の事業エリアでもある東日本大震災の被災地での越境学習をプログラムに組み込むことで、参加者が業務の社会的意義を再認識し、組織への帰属意識と使命感を高めることに繋がりました。

この研修を通じて管理者層のマインドセットが変わり、組織全体のエンゲージメント向上に向けた強固な人材基盤の構築に成功しています。
JTBコミュニケーションデザインの従業員エンゲージメント施策については「JTBコミュニケーションデザインの人事戦略記事」で詳しく紹介しています。

エンゲージメントスコアに関するよくある質問

エンゲージメントスコアを組織運営に活用するにあたり、様々な疑問が生じることがあります。
ここでは、測定の目的や他の指標との違い、適切な調査頻度など、エンゲージメントスコアに関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

エンゲージメントスコアを測定する目的は何ですか?

組織の課題を客観的なデータで可視化し、具体的な改善策を立てるためです。
従業員の貢献意欲や組織への愛着を測定し、離職率の低下や生産性向上につなげる施策の根拠とすることが主な目的となります。

エンゲージメントスコアと従業員満足度はどのように使い分ければよいですか?

従業員満足度は「待遇や環境への満足度」という受動的な状態を測る指標です。
一方、エンゲージメントスコアは「組織への貢献意欲」という能動的な状態を測ります。
両者は補完関係にあり、併用することで組織の状態を多角的に比較・把握できます。

エンゲージメントスコアの測定はどのくらいの頻度で行うのが効果的ですか?

目的によって異なります。
組織全体の健康診断として詳細な分析を行う場合は年1〜2回の「エンゲージメントサーベイ」が適しています。
施策の効果測定など変化を素早く追いたい場合は、月1回など高頻度の「パルスサーベイ」が効果的な調査方法です。

JTBコミュニケーションデザインが選ばれる理由

JTBコミュニケーションデザインは、長年の実績と独自のメソッドに基づき、エンゲージメント向上を強力に支援します。
単なる調査や分析に留まらず、組織の本質的な課題解決に向けた改善策の実行まで、一貫して伴走することが可能です。

4つの意欲と4つのレイヤーで分析する独自のエンゲージメント定義

当社では、エンゲージメントを「貢献・成長・やりがい・永続」の4つの意欲と、「会社・経営層・部門/上長・同僚」の4つのレイヤー(階層)との関係性で体系的に整理しています。

この独自の定義に基づき多角的な分析を行うことで、組織のエンゲージメントにおける課題(ボトルネック)がどこにあるのかを明確に特定し、理的なアプローチを可能にします。

10業種2.5万人の調査実績に基づく信頼性の高いメソッド

当社のエンゲージメント向上メソッドは、10業種、2.5万人にも及ぶ大規模な調査結果に基づいて開発されています。
様々な業種や企業規模のデータを比較・分析することで、サーベイの精度を高めています。
この豊富な実績に裏打ちされた信頼性の高いメソッドにより、お客様の組織に最適な施策を導き出します。

研修からイベントまでJTBならではの幅広い解決手段

JTBコミュニケーションデザインの強みは、調査・分析に留まらない幅広い解決手段を提供できる点にあります。
JTBグループが長年培ってきた知見を活かし、課題解決のための研修やワークショップ、組織の一体感を醸成するイベントやアワードの企画・運営、社内広報ツールの制作まで、多岐にわたるソリューションを組み合わせ、最適な改善プログラムを提案します。

まとめ

エンゲージメントスコアは、従業員の貢献意欲や組織への愛着を示す重要な指標です。
このスコアを適切な方法で測定し、結果を分析することで、組織が抱える課題を明確にできます。
スコアが低い場合には、ビジョンの浸透やコミュニケーションの活性化、正当な評価制度の構築といった改善策に取り組むことが求められます。

エンゲージメントサーベイなどを活用し、測定と改善のサイクルを継続的に回していくことが、持続的な組織の成長につながります。

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