エンゲージメントスコアとは?意味と測り方、低い場合の改善方法を解説

2026/07/30

エンゲージメントスコアとは?意味と測り方、低い場合の改善方法を解説

エンゲージメントスコアは、従業員の組織に対する貢献意欲や愛着を数値化した重要な指標です。
このスコアが低い場合、離職率の増加や生産性の低下につながる可能性があります。
この記事では、エンゲージメントスコアの基本的な意味から、具体的な測り方、スコアが低い原因と改善策までを解説します。

自社の組織状態を客観的に把握し、改善に向けた適切な測定方法や指標の活用法を理解するために役立ちます。
エンゲージメントスコアの意味と測り方、改善方法については「エンゲージメントスコアとは?意味と測り方、低い場合の改善方法」で詳しく紹介しています。

まずは基本から解説!エンゲージメントスコアとは

エンゲージメントスコアは、従業員と組織の関係性を測るための重要な指標です。
単なる満足度とは異なり、従業員が仕事に対してどれだけ情熱を持ち、自発的に貢献しようとしているかを示します。

ここでは、エンゲージメントスコアの基本的な意味や、学術的な背景であるワークエンゲージメントの概念、そしてなぜ現代の組織運営においてこの指標が不可欠とされるのかについて解説します。

従業員の貢献意欲や組織への愛着を数値化した指標

エンゲージメントスコアとは、従業員が持つ組織への愛着や信頼、貢献意欲などを数値で可視化した指標です。
具体的には、「企業と従業員が相互に影響しあい、共に必要な存在として絆を深めながら成長できる関係性」がどの程度築けているかを示します。
このスコアを測定することで、組織の健全性や従業員の心理状態を客観的に把握し、人事戦略や組織開発に活かすことが可能です。

単に会社が好きという感情だけでなく、仕事への熱意や誇り、自発的な貢献の意志といった多面的な意味を含んでいます。

「従業員満足度(ES)」とは何が違うのか?

エンゲージメントスコアと従業員満足度は、似ているようで異なる指標です。
従業員満足度は、給与や福利厚生、労働環境といった待遇面に対する従業員の満足度合いを測る指標で、いわば会社から与えられるものへの評価です。
一方、エンゲージメントスコアは、従業員が自発的に組織へ貢献したいという能動的な意欲を測る点で大きく異なります。

満足度が高くても必ずしも貢献意欲が高いとは限らないため、両者を比較し、それぞれの指標が示す意味を理解した上で活用することが求められます。

なぜ今、エンゲージメントスコアが重要視されるのか

現代においてエンゲージメントスコアが重要視される背景には、労働人口の減少や人材の流動化、働き方の多様化といった社会的な変化があります。
企業が持続的に成長するためには、優秀な人材を確保し、その能力を最大限に引き出すことが不可欠です。

エンゲージメントスコアの高い組織では、従業員が自発的に業務改善やイノベーションに取り組むため、生産性が向上します。
また、組織への愛着が深まることで離職率が低下し、採用・育成コストの削減にもつながるため、多くの企業がこの指標に注目しています。
エンゲージメント経営については「エンゲージメント経営とは?成功事例に学ぶ実践方法と導入メリット」で詳しく紹介しています。

日本企業のエンゲージメントスコアの平均と現状

複数の調査機関によると、日本企業のエンゲージメントスコアは世界的に見て低い水準にあると指摘されています。
例えば、米ギャラップ社の調査では、日本の「熱意あふれる社員」の割合は他国と比較して著しく低い結果が出ています。
これは、年功序列型の評価制度や硬直的な組織文化が、個人の自発的な貢献意欲を育みにくい環境を生み出している可能性を示唆します。

自社のスコアを評価する際は、こうした国内の平均的な傾向を目安としつつも、業界平均などより具体的なデータとの比較を通じて、客観的な立ち位置を把握することが重要ですす。

エンゲージメントスコアが低下する3つの主な原因

エンゲージメントスコアが低い状態には、必ず何らかの原因が存在します。
組織の課題を正確に把握するためには、スコアの数値を分析し、その背景にある問題を特定することが不可欠です。

ここでは、スコア低下の代表的な原因として「キャリアと評価」「人間関係」「ビジョンへの共感」という3つの側面に焦点を当てて解説します。

原因①:キャリアパスが見えず、正当な評価をされていないと感じる

従業員が自社で働き続ける中での成長イメージやキャリアパスを描けない場合、エンゲージメントは低下しやすくなります。
将来の目標が見えないと、日々の業務に対するモチベーションを維持することが困難になるためです。
また、自身の働きや成果が正当に評価されていないと感じることも、貢献意欲を著しく削ぐ要因となります。

評価基準が曖昧であったり、フィードバックの機会が不足していたりすると、従業員は不公平感を抱き、エンゲージメントが低い状態に陥ります。

原因②:職場の人間関係が悪く、コミュニケーションが不足している

上司や同僚との人間関係は、エンゲージメントを左右する極めて重要な要素です。
特に、上司との信頼関係が築けていない、あるいは部署内のコミュニケーションが不足している職場では、従業員は孤独感や疎外感を抱きやすくなります。

意見を自由に言えない、困ったときに相談できないといった心理的安全性の低い環境は、従業員の自発的な行動を妨げ、エンゲージメントの低下に直結します。

原因③:会社のビジョンや理念に共感できていない

会社の掲げるビジョンや理念に共感できない場合、従業員は自分の仕事の意義や目的を見出しにくくなります。
会社の目指す方向と、自分が大切にしたい価値観が異なると感じると、組織への帰属意識は薄れ、貢献意欲も低下します。

経営層がビジョンを語るだけで、それが現場の業務とどう結びついているのかが伝わっていなければ、従業員は共感することができず、結果としてエンゲージメントが低い状態から抜け出せません。

自社のエンゲージメントスコアを測定する具体的な方法

自社のエンゲージメントスコアを正確に測定し、組織改善に活かすためには、目的に合った調査方法を選択することが重要です。
ここでは、代表的な測り方である「エンゲージメントサーベイ」と「パルスサーベイ」の2種類について、それぞれの特徴や適切な活用場面、具体的な調査項目や計算方法の考え方を解説します。
従業員エンゲージメントの測定方法については「社内エンゲージメントを向上させるには?測定方法と具体的施策を解説」で詳しく紹介しています。

年1回など定期的な現状把握に適した「エンゲージメントサーベイ」

エンゲージメントサーベイは、一般的に年に1〜2回の頻度で実施される詳細な調査です。
設問数が多く、組織風土や人間関係、評価制度など多角的な項目からエンゲージメントに影響を与える要因を網羅的に測定します。
この調査により、組織全体の健康状態を精密に把握し、根本的な課題を特定することが可能です。

分析結果をもとに、次年度に向けた具体的な人事戦略や組織開発計画を立案するなど、中長期的な視点での改善活動に適しています。

月1回など高頻度で実施し、変化を素早く察知する「パルスサーベイ」

パルスサーベイは、心拍数を測るように、短い間隔で従業員の状態を定点観測する調査手法です。
設問数を1〜15問程度に絞り、月1回や週1回といった高頻度で実施します。
これにより、人事制度の変更や新規プロジェクトの開始といった施策が従業員に与えた影響をリアルタイムで把握したり、特定の部署で発生している問題の兆候を早期に発見したりすることが可能です。

現場レベルでの迅速な状況把握と改善アクションにつなげやすいのが特徴で、エンゲージメントサーベイと補完的に活用することで、より効果的な分析が実現します。
サーベイ活用によるエンゲージメント向上のカギについては「サーベイ活用によるエンゲージメント向上のカギ」で詳しく紹介しています。

エンゲージメントスコアを向上させるための5つの改善策

エンゲージメントスコアを測定した後は、その結果に基づいて具体的な改善策を実行することが不可欠です。
スコアを高めるためには、組織の理念浸透から個人の成長支援、制度や環境の整備まで、多角的なアプローチが求められます。
ここでは、エンゲージメント向上に効果的な5つの改善策を紹介します。

改善策①:企業の理念やビジョンを従業員に浸透させる

企業の理念やビジョンを従業員一人ひとりが自分事として捉え、共感できる状態をつくることは、エンゲージメントを高める上で根幹となります。
経営層が全社会議や社内報などを通じて、自らの言葉で繰り返しビジョンを語りかけることが重要です。
さらに、各部署の目標と企業理念との関連性を明確にし、日々の業務が会社の未来にどう貢献しているのかを実感できる機会を設けることで、従業員の当事者意識と貢献意欲を引き出します。

改善策②:1on1ミーティングで部下との対話を増やす

上司と部下の定期的な1on1ミーティングは、信頼関係を構築し、エンゲージメントを高める効果的な手法です。
業務の進捗確認だけでなく、部下のキャリアプランや悩み、コンディションなどについて対話する時間を設けます。
上司が部下の考えや価値観を理解し、支援する姿勢を示すことで、部下は尊重されていると感じ、自己有用感を高めることが可能です。

これにより、コミュニケーションの質が向上し、心理的安全性の確保にもつながります。

改善策③:従業員の成長を後押しするスキルアップ支援を行う

従業員が自身の成長を実感できる環境は、エンゲージメント向上に直結します。
企業が主体的に研修プログラムを提供したり、資格取得支援制度や書籍購入補助などを導入したりすることで、従業員の学習意欲を後押しします。

また、挑戦的な業務や新たな役割を任せることも、能力開発の機会となります。
従業員一人ひとりのキャリア志向に合わせた成長支援を行うことで、仕事へのやりがいと組織への貢献意欲を高めることが期待できます。

改善策④:納得感のある人事評価制度を構築する

従業員が納得できる公平で透明性の高い人事評価制度は、エンゲージメントを高めるための基盤です。
評価基準を明確に公開し、目標設定の段階から従業員と上司がすり合わせを行います。
評価結果を伝える際には、具体的な根拠に基づいたフィードバックを行い、今後の成長に向けた期待を伝えることが重要です。

成果だけでなく、プロセスや挑戦する姿勢も評価に含めることで、従業員のモチベーションを維持し、組織への信頼感を醸成します。

改善策⑤:柔軟な働き方を導入し労働環境を整える

従業員一人ひとりのライフスタイルや価値観を尊重し、柔軟な働き方を認めることは、エンゲージメントを高める上で有効です。
リモートワークやフレックスタイム制度、時短勤務などを導入することで、従業員は仕事と私生活のバランスを取りやすくなります。

自律的に働く環境が提供されることで、従業員の主体性が育まれ、生産性の向上にもつながります。
物理的な労働環境だけでなく、心理的な働きやすさを整えることが重要です。

改善策を成功させるために押さえておきたい3つのポイント

エンゲージメントスコア向上のための改善策を効果的に実行するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
単発の施策で終わらせず、組織文化として根付かせるための継続的な取り組みが求められます。
ここでは、改善策を成功に導くための3つの鍵となるポイントを解説します。

ポイント①:管理職の部下に対するマネジメントスキルを向上させる

エンゲージメントを高める上で最も影響力が大きいのは、直属の上司である管理職の存在です。
部下の話に耳を傾ける「傾聴力」、適切な指導やフィードバックを行うスキル、そしてチームの心理的安全性を確保する能力などが求められます。

管理職向けの研修を実施し、エンゲージメントの重要性を理解してもらうと共に、具体的なマネジメントスキルを習得する機会を提供することが、改善策を成功させるための第一歩となります。

ポイント②:一度きりでなく継続的にスコアを測定・分析する

エンゲージメントスコアは一度測定して終わりではなく、継続的に観測することが重要です。
定期的な調査を通じてスコアの変化を追いかけることで、実施した改善策が実際に効果を上げているのかを客観的に評価できます。
施策の実行(Do)、スコアの測定・分析(Check)、そして新たな改善策の立案(Action)というPDCAサイクルを回し続けることが、組織を継続的に改善していく上で不可欠です。

場当たり的な対応ではなく、データに基づいた分析を続けましょう。

ポイント③:調査結果を従業員にフィードバックし、対話の機会を設ける

サーベイを実施した後は、その調査結果を従業員に誠実にフィードバックすることが極めて重要です。
「調査しても何も変わらない」という不信感は、エンゲージメントをかえって低下させます。
全社的な傾向だけでなく、部署ごとの結果も可能な範囲で共有し、チーム単位で「自分たちの職場をより良くするためにはどうすればよいか」を話し合う対話の機会(ワークショップなど)を設けましょう。

従業員が当事者として改善活動に参加することで、分析結果がより意味のあるものになります。

エンゲージメントスコア向上のための施策事例

エンゲージメントスコア向上のためには、自社の課題に合わせた具体的な施策を展開することが重要です。
ここでは、実際にエンゲージメント向上に取り組んだ企業の事例を紹介します。

各社がどのような課題を持ち、それを乗り越えるためにどのようなアプローチを取ったのかを知ることは、自社の施策を考える上で大きなヒントになります。

【西武ホールディングス様】グループビジョン浸透と定点調査で組織を活性化

西武ホールディングス様では、グループビジョンの浸透度を測るための定点調査を継続的に実施しています。
コロナ禍で初めてWEB調査に切り替えた際、自由回答欄を増やして従業員の生の声を収集しやすくする工夫を行いました。

調査結果の分析から、お客様との接点が減ったことでモチベーションが低下している反面、仕事へのやりがいと誇りは高い水準を維持していることが判明。
この結果を踏まえ、社員同士で感謝を伝え合うプロジェクトなどを実施し、グループとしての一体感を醸成する改善につなげました。

【東日本旅客鉄道株式会社様】管理者層の意識変革を促すワークショップでエンゲージメント向上を実現

東日本旅客鉄道株式会社様では、管理者層のプレイングマネージャー化により、部下育成が手薄になっているという課題がありました。
そこで、管理者層を対象に、東日本大震災の被災地での越境学習を含む体験型のワークショップを実施。
座学だけでなく、現場で自社の社会的価値を再認識する機会を設けました。

この研修を通じて、参加者は傾聴やフィードバックの重要性を深く理解し、部下とのコミュニケーションに対する意識が向上。
管理者層の当事者意識を醸成し、組織全体のエンゲージメントを高める礎を築きました。

エンゲージメントスコアに関するよくある質問

エンゲージメントスコアを組織に導入・活用するにあたり、多くの担当者が疑問を抱きます。
ここでは、測定の目的や従業員満足度との違い、適切な調査頻度など、特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
基本的な意味や指標の正しい理解は、効果的な運用への第一歩です。

エンゲージメントスコアを測定する目的は何ですか?

エンゲージメントスコアを測定する最大の目的は、従業員の貢献意欲や組織への愛着といった目に見えないものを数値化し、組織の課題を客観的に把握することです。
この指標の分析を通じて、離職リスクの早期発見や生産性低下の原因特定が可能になり、データに基づいた具体的な人事施策や組織改善策を立案・実行できるようになります。

エンゲージメントスコアと従業員満足度はどのように使い分ければよいですか?

従業員満足度は「労働環境や待遇への満足感」という受動的な状態を測る指標です。
一方、エンゲージメントスコアは「組織に自発的に貢献したい」という能動的な意欲を測ります。
両者は補完関係にあり、満足度を高めて働きやすさの基盤を整えつつ、エンゲージメントを高めて業績向上につなげる、という視点での使い分けが有効です。

エンゲージメントスコアの測定はどのくらいの頻度で行うのが効果的ですか?

測定の頻度は目的によって異なります。
組織全体の課題を詳細に分析し、中長期的な戦略を立てる場合は、年に1〜2回の詳細な「エンゲージメントサーベイ」が適しています。

一方で、実施した施策の効果を素早く確認したり、現場の変化をタイムリーに把握したりしたい場合は、月に1回程度の簡易的な「パルスサーベイ」が効果的です。

JTBコミュニケーションデザインが選ばれる理由

エンゲージメントスコアの測定から改善までを一貫して支援するサービスは数多く存在します。
その中でJTBコミュニケーションデザインが提供するソリューションは、独自のメソッドと豊富な実績に基づいています。
ここでは、多角的な分析を可能にする定義、信頼性の高い調査、そしてJTBならではの多様な解決策という3つの強みを紹介します。

4つの意欲と4つのレイヤーで分析する独自のエンゲージメント定義

JTBコミュニケーションデザインでは、エンゲージメントを単一の指標で捉えません。
「貢献・成長・やりがい・永続」という4つの意欲と、従業員に影響を与える「会社」「経営層」「部門・上長」「同僚」の4つのレイヤー(階層)を掛け合わせて分析します。
この独自のフレームワークにより、組織のどこに、どのような課題(ボトルネック)が存在するのかを多角的かつ詳細に特定することが可能です。

この精緻な分析が、的確な改善策の立案につながります。
JTBコミュニケーションデザインの従業員エンゲージメントメソッドについては「従業員エンゲージメントメソッド」で詳しく紹介しています。

10業種2.5万人の調査実績に基づく信頼性の高いメソッド

JTBコミュニケーションデザインのエンゲージメントメソッドは、10業種、2.5万人以上の豊富な調査実績に基づいて開発されています。
多様な業界・企業規模のデータと比較分析することで、自社の立ち位置を客観的に把握することが可能です。

長年にわたる実績と膨大なデータに裏打ちされた信頼性の高いメソッドだからこそ、企業の固有の課題に合わせた効果的な施策を導き出すことができます。

研修からイベントまでJTBならではの幅広い解決手段

課題の分析・特定に留まらず、具体的な解決策までワンストップで提供できるのがJTBコミュニケーションデザインの強みです。
課題に応じて、管理職研修やワークショップ、チームビルディングを目的としたイベント、社員の功績を称えるアワード(表彰式)の企画・運営、社内報やWebサイトなどの制作物まで、JTBグループならではの多岐にわたるソリューションを組み合わせ、最適なプログラムを提案します。

まとめ

エンゲージメントスコアは、従業員の貢献意欲や組織への愛着を示す重要な指標であり、企業の持続的な成長に不可欠です。
このスコアを正しく測定するためには、エンゲージメントサーベイなどの手法を用いて組織の現状を可視化することが第一歩となります。

そして、測定結果を分析し、理念の浸透や評価制度の見直し、コミュニケーションの活性化といった具体的な改善策に繋げ、継続的に実行していくことが求められます。

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