組織構築とは?強い組織の作り方を5ステップで解説【フレームワークも紹介】
企業の持続的な成長には、戦略を確実に実行できる強い組織が不可欠です。
しかし、「組織構築とは具体的に何をすれば良いのか」「どこから手をつければ良いのかわからない」と感じている経営者や人事責任者も多いのではないでしょうか。
この記事では、強い組織を作るための基本的な考え方から、具体的な5つのステップ、さらには組織分析に役立つフレームワークまで、わかりやすく解説します。
自社の組織課題を解決し、成長を加速させるためのヒントを見つけてください。
この記事でわかること
・強い組織を作るための具体的な5ステップ
・組織の現状を多角的に分析するフレームワーク(7S)
・組織構築が企業の生産性や成長にもたらすメリット
・構築した組織を成功させ、維持し続けるための重要ポイント
組織構築とは企業の成長を支える土台づくり
組織構築とは、企業の理念やビジョンを実現するために、人材や資源を最適に配置し、機能的な仕組みを作り上げることです。
単に部署を設置したり、役職を決めたりするだけでなく、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、共通の目標に向かって協力し合えるような環境を整える活動全般を指します。
経営学者のチェスター・バーナードが提唱したように、組織が成立するには「共通の目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」の3つの要素が不可欠であり、これらを円滑に機能させるための土台づくりが組織構築の核となります。
なぜ今、多くの企業で組織構築が重要視されるのか
市場環境が目まぐるしく変化する現代において、多くの企業が組織構築の重要性を再認識しています。
変化に迅速に対応し、持続的に成長を遂げるためには、強固でありながらも柔軟な組織構造が不可欠だからです。
ここでは、組織構築が企業にもたらす具体的なメリットを3つの観点から解説します。
生産性の向上とスピーディーな意思決定の実現
組織構築によって各部門の役割と責任範囲が明確になると、業務の重複や無駄が削減され、組織全体の生産性が向上します。
誰が何に対して責任を持つかがはっきりすることで、現場レベルでの意思決定が迅速に行えるようになります。
これにより、従業員は自らの業務に集中しやすくなり、仕事へのモチベーションも高まります。
結果として、変化の速い市場にもスピーディーに対応できる、機動力のある組織が生まれます。
従業員の役割が明確になり主体的な行動を促進
組織の構造や各役職の役割が明確に定義されると、従業員は自身に何が期待されているのかを正しく理解できます。
自分の業務が組織全体の目標達成にどう貢献するのかが可視化されることで、仕事に対する当事者意識が芽生えます。
これは、従業員のモチベーション向上に直結し、指示待ちではなく、自ら考えて行動する主体性を育みます。
一人ひとりが自律的に動ける組織は、変化に強く、革新的なアイデアが生まれやすい土壌となります。
技術やノウハウの蓄積による組織力の強化
組織が体系的に構築されると、個々の従業員が持つ優れたスキルや専門知識、成功体験といったノウハウが、個人のものにとどまらず、組織全体の資産として蓄積されやすくなります。
情報共有のルールや仕組みが整うことで、特定の人物に業務が依存する「属人化」のリスクを低減できます。
これにより、ベテランから若手への技術継承がスムーズに進み、組織全体の能力が底上げされ、長期的な競争力の強化につながります。
強い組織に不可欠な「マッキンゼーの7S」フレームワーク
組織の状態を客観的に把握し、課題を洗い出すためには、体系的な分析ツールが有効です。
その代表的なフレームワークが、コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱した「7S」です。
このフレームワークは、組織を7つの要素に分解し、それぞれの関連性から組織の全体像を捉えます。
7つのSは、比較的変更しやすい「ハードの3S」と、時間をかけて形成される「ソフトの4S」に大別されます。
ハードの3S:企業の骨格となる要素
「組織設計の3S」という特定のフレームワークは、提供された情報源からは確認できませんでした。組織設計に関連するフレームワークとしては、マッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱した「7Sモデル」や、「組織設計の五原則」といったものが存在します。
戦略(Strategy)
戦略とは、企業の目標を達成するための具体的な計画や方針のことです。
事業の方向性、市場での競争優位性をどのように確立するかを定めます。
組織の持つリソース(人・物・金・情報)をどこに重点的に配分するかを決定する、組織全体の羅針盤となる要素です。
この戦略が明確でなければ、組織の各部門や従業員はバラバラの方向を向いてしまい、力を結集できません。
組織構造(Structure)
組織構造とは、企業の指揮命令系統や部門間の関係性を示した、いわゆる組織体制のことです。
機能別組織、事業部制組織、マトリクス組織など、さまざまな形態があります。
どの組織構造を選択するかは、企業の戦略を効率的に実行する上で極めて重要です。
例えば、多角的な事業を展開する企業が、単一事業向けの機能別組織のままでは、各事業の迅速な意思決定が困難になります。
システム(Systems)
システムとは、組織を円滑に運営するための具体的な仕組みや業務プロセスのことです。
人事評価制度、報酬制度、予算管理プロセス、情報共有システムなどがこれにあたります。
従業員の日々の行動や意思決定に直接的な影響を与えるルールや制度であり、戦略や組織構造を実効性のあるものにするために不可欠な要素です。
優れた戦略も、それを支えるシステムがなければ絵に描いた餅となります。
ソフトの4S:組織文化を形成する要素
「ソフトの4S」は、組織に根付く価値観や文化、人材に関連する、目には見えにくい4つの要素を指します。
これらは一朝一夕には変えることが難しく、時間をかけて醸成されるものです。
組織の「血肉」とも言える部分であり、従業員のモチベーションや行動に大きな影響を与え、組織の活力を左右します。
共通の価値観(Shared Value)
共通の価値観とは、企業のミッションやビジョン、行動指針など、組織のメンバー全員で共有されている信条や理念のことです。
これは7Sの中心に位置づけられ、他のすべての要素に影響を与える最も重要な要素とされています。
従業員が日々の業務で判断に迷った際の拠り所となり、組織全体に一体感を生み出す求心力として機能します。
この価値観が浸透している組織は、困難な状況でもぶれることなく進むことができます。
ビジョン浸透については「ビジョン浸透支援プログラム」で詳しく紹介しています。
スキル(Skill)
スキルは、特定の個人が持つ能力を指します。一方、組織全体としての独自の強みや専門的な能力は、ケイパビリティやコアコンピタンスと区別されます。例えば、高い技術力、卓越したマーケティング能力、優れた営業力などは個人のスキルにあたります。これらの個人のスキルが発揮され、営業プロセスが競合優位性となるまで成長した場合、それはコアコンピタンスとなり、ケイパビリティを形成します。他社にはない組織の強みこそが、競争優位性の源泉となります。
自社の強みであるスキルを正しく認識し、さらに伸ばしていくことが企業の成長に不可欠です。
ビジネススキル全般については「ビジネススキル一覧と身につけ方」で詳しく紹介しています。
人材(Staff)
人材とは、組織に所属する従業員一人ひとりの能力、経験、専門性、価値観、そしてその集合体としての人的資本を指します。
どのような人材を採用し、どのように育成・配置するかが、組織の能力を大きく左右します。
また、従業員の多様性も重要な要素です。
多様なバックグラウンドを持つ人材が集まることで、新たな発想やイノベーションが生まれやすくなります。
経営スタイル(Style)
経営スタイルとは、経営陣やリーダーの行動様式や意思決定の傾向、そしてそれによって形成される組織全体の文化や風土のことです。
例えば、トップダウンで物事を進める文化か、現場の意見を尊重するボトムアップの文化か、といった点が挙げられます。
このスタイルは、従業員の働きがいやエンゲージメントに直接影響を与え、組織の雰囲気を決定づける重要な要素です。
上司と部下の信頼関係構築のコツについては「上司と部下の信頼関係構築のコツ<第1回>」で詳しく紹介しています。
【5ステップで解説】強い組織の作り方と具体的な手順
ここまで組織構築の重要性や分析フレームワークについて解説してきました。
それでは、実際に強い組織を作るには、どのような手順で進めれば良いのでしょうか。
ここでは、企業の土台から作り上げるための具体的な5つのステップを紹介します。
このステップに沿って進めることで、一貫性のある強固な組織を構築することが可能になります。
ステップ1:企業の理念やビジョン(MVV)を明確にする
組織構築の最初のステップは、企業の存在意義であるミッション(Mission)、目指すべき未来像であるビジョン(Vision)、そして行動指針となるバリュー(Value)を明確に言語化することです。
MVVは、組織が進むべき方向を示す羅針盤であり、あらゆる意思決定の根幹となります。
従業員が「何のために働くのか」を理解し、共感することで、組織全体に一体感が生まれます。
この土台が曖昧なままでは、その後のステップも効果を発揮しません。
ステップ2:理念に基づいた組織戦略を策定する
次のステップでは、明確化したMVVを実現するための具体的な事業戦略を策定します。
どの市場で、どのような顧客に、どのような価値を提供して競争優位性を築くのかを定めます。
中期経営計画の策定や、マーケティング戦略、研究開発戦略といった機能別の戦略を具体化する段階です。
理念やビジョンという「想い」を、事業活動という「実行」に落とし込むための重要な橋渡しとなります。
ステップ3:戦略に最適な組織構造を設計する
ステップ3では、策定した戦略を最も効率的に実行できる組織体制を設計します。
事業の多角化を進める戦略であれば「事業部制組織」、専門性を高める戦略であれば「機能別組織」、あるいは両方を組み合わせた「マトリクス組織」など、戦略に合わせて最適な構造を選択します。
各部門の役割分担や指揮命令系統を明確にすることで、戦略実行のスピードと確実性を高めます。
ステップ4:役割と責任を定義し、適切な人材を配置する
組織構造が決まったら、次のステップとして、その中で各部門や役職が担うべき役割と責任を具体的に定義します。
職務記述書などを用いて、権限の範囲や成果責任を明確化します。
その上で、各従業員のスキルや経験、キャリア志向を考慮し、最も能力を発揮できるポジションに配置する適材適所を実現します。
これにより、従業員のエンゲージメント向上も期待できます。
ステップ5:公平な人事評価制度と運用ルールを構築する
最後のステップは、従業員の貢献度を公正に評価し、育成や処遇に反映させるための人事評価制度を構築することです。
設定した役割や目標に対する達成度を測るための評価基準やプロセスを明確に定めます。
評価の透明性と公平性を担保することは、従業員の納得感を高め、成長意欲を引き出す上で不可欠です。
制度を構築するだけでなく、評価者への研修を行うなど、適切な運用ルールを整備することも重要です。
組織のエンゲージメント向上を支援するJTBのHRプログラム
組織という「器」を構築するだけでは、企業は持続的に成長できません。
その中で働く従業員一人ひとりの活力、すなわちエンゲージメントが不可欠です。
JTBコミュニケーションデザインでは、組織で働く「人」のモチベーションやエンゲージメント向上を支援する多様なHRプログラムを提供しています。
仕事への熱意を高める「モチベーションメソッド」、組織への貢献意欲を引き出す「従業員エンゲージメントメソッド」、そして顧客との良好な関係を築く「ホスピタリティメソッド」という3つの独自メソッドを軸に、貴社の組織課題に合わせた最適なソリューションをご提案します。
エンゲージメント経営については「エンゲージメント経営の実践方法」で詳しく紹介しています。
組織構築を成功に導く3つの重要ポイント
組織構築は一度行えば終わりというものではありません。
企業の成長や外部環境の変化に対応し、常に進化し続ける必要があります。
ここでは、組織構築を成功させ、その効果を持続させるために特に重要な3つのポイントを解説します。
これらを意識することで、変化に強いしなやかな組織を維持することが可能になります。
外部環境の変化を常に把握し、柔軟に対応する
市場の動向、競合の戦略、技術革新、法改正など、企業を取り巻く外部環境は常に変化しています。
かつては最適だった組織構造も、環境の変化によって機能不全に陥ることがあります。
そのため、常に外部環境の変化にアンテナを張り、自社の戦略や組織体制が現状に適しているかを問い続ける姿勢が重要です。
変化の兆候をいち早く察知し、組織を柔軟に変化させることが、企業の持続的な成長を支えます。
従業員のエンゲージ-メントを高める施策を並行して行う
組織構造や制度といった「ハード面」の整備と同時に、従業員の意欲や貢献意欲といった「ソフト面」へのアプローチが不可欠です。
従業員が会社のビジョンに共感し、自らの仕事に誇りを持って取り組めるような環境づくりが求められます。
定期的な1on1ミーティングの実施、キャリア開発支援、公正な評価とフィードバックなど、従業員のモチベーションを高める施策を並行して行うことで、構築した組織が本来の力を発揮します。
従業員エンゲージメント向上については「社内エンゲージメント向上の施策」で詳しく紹介しています。
構築後も定期的な見直しと改善を続ける
組織は生き物です。
一度完成したと思っても、事業の成長段階や人員構成の変化によって、新たな課題が必ず生まれます。
そのため、組織構築後も定期的にその機能性を評価し、改善を続けることが重要です。
従業員満足度調査やエンゲージメントサーベイなどを活用して組織の状態を客観的に把握し、問題が顕在化すれば、組織の再構築も視野に入れた見直しを行います。
このPDCAサイクルを回し続けることが、強い組織を維持する鍵となります。
やる気分析システムについては「やる気分析システム「MSQ」」で詳しく紹介しています。
組織構築に関するよくある質問
ここでは、組織構築に関して多くの企業担当者から寄せられる質問とその回答をご紹介します。
Q. 組織構築は、どのような課題を抱える企業に有効ですか?
生産性の低下、部門間の連携不足、意思決定の遅延、若手社員の離職率増加といった課題を抱える企業に特に有効です。
これらの問題は、企業の成長に伴い、既存の組織体制が実情に合わなくなった際に起こりがちです。
組織構築は、こうした「成長の歪み」を是非し、次のステージへ進むための土台を整える上で役立ちます。
Q. 中小企業が組織構築を進める上で特に注意すべき点は何ですか?
限られた人材で成果を最大化するため、個々の役割を明確にしつつも、柔軟な連携を促す仕組みが重要です。
大企業のように細分化しすぎず、一人が複数の役割を担うことを前提とした設計や、風通しの良いコミュニケーションを確保することが注意点です。
また、経営者の理念やビジョンを全社員に直接伝え、会社の向かう方向性を共有することが特に求められます。
Q. 組織構築のフレームワークはどれを選べば良いのでしょうか?
まず「マッキンゼーの7S」のような網羅的なフレームワークで自社の現状を多角的に分析することをおすすめします。
その上で、特に課題となっている要素に焦点を当てて深掘りするのが効果的です。
フレームワークはあくまで思考を整理するツールです。
自社の状況に合わせて、複数のフレームワークを組み合わせたり、要素を絞ったりして柔軟に活用することが重要です。
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まとめ
組織構築は、企業の持続的な成長を実現するための根幹をなす活動です。
本記事で紹介した「マッキンゼーの7S」のようなフレームワークを活用して自社の現状を分析し、5つのステップに沿って具体的な手順を進めることで、戦略を実行できる強い組織の土台を築くことができます。
しかし、組織構築は一度行えば終わりではなく、外部環境の変化や企業の成長に合わせて常に見直しと改善を続けることが重要です。
もし自社だけで進めることに難しさを感じる場合は、外部の専門家の知見を活用することも有効な選択肢の一つです。
この記事が、貴社の組織をより良くするための一歩を踏出すきっかけとなれば幸いです。