人材戦略とは?立て方5ステップ、フレームワーク、成功事例を解説
企業の持続的な成長には、優れた事業戦略だけでなく、それを実行する人の力が不可欠です。
しかし、労働人口の減少や働き方の多様化が進む現代において、優秀な人材を確保し、育て、活躍してもらうことは、多くの企業にとって大きな課題となっています。
そこで重要になるのが人材戦略の策定と実行です。
本記事では、30年以上にわたり多くの企業の組織開発を支援してきた専門家の視点から、人材戦略とは何か、その基本的な立て方から、立案に役立つフレームワーク、さらには具体的な成功事例までを網羅的に解説します。
この記事を読めば、自社の経営目標達成に向けた、実効性のある人材戦略を立案・策定するための一歩を踏み出せるはずです。
この記事でわかること
・ 経営目標達成の鍵となる人材戦略の役割と定義
・ 実効性の高い人材戦略を策定するための具体的な5ステップ
・ 現状分析や課題設定に役立つ代表的なフレームワーク
・ 組織変革を実現した企業の成功事例から学ぶ実践のポイント
人材戦略とは?経営目標達成の鍵を握る重要な取り組み
人材戦略とは、企業の経営目標や事業戦略を達成するために、どのような人材を、いつまでに、どれくらい確保し、どのように育成・配置・活用していくかを定めた長期的な計画や方針のことです。
単なる採用計画や研修計画とは異なり、経営の中核と深く連動している点が最大の特徴です。
この戦略の目的は、事業の成長に必要な人的資源を質・量の両面から最適化し、企業の競争優位性を確立することにあります。
変化の激しい時代において、企業の未来を左右する羅針盤ともいえる重要な意味を持つ取り組みが、人材戦略の定義です。
人材戦略と人事戦略、戦略人事、人的資本経営は何が違うのか
人材戦略を考える上で、「人事戦略」や「戦略人事」、「人的資本経営」といった類似用語との違いを理解することは非常に重要です。
これらの言葉は混同されがちですが、それぞれ焦点や位置づけが異なります。
これらの関係性を整理することで、自社が取り組むべきことの解像度が高まります。
人事戦略との関係性:実行計画か、資源活用か
人材戦略と人事戦略は密接に関連しますが、その位置づけに違いがあります。
一般的な考え方として、人材戦略が「経営戦略を達成するために、どのような人材ポートフォリオを目指すか」という目標を設定するのに対し、人事戦略は「その目標を達成するために、評価・等級・報酬・労務管理などの人事制度をどのように設計・運用するか」という具体的な手段を定めます。
つまり、人材戦略がより上位の構想であり、人事戦略はそれを具現化するための実行計画と捉えることができます。
戦略人事との関係性:役割か、計画か
戦略人事とは、人事部門が単なる管理業務だけでなく、経営者のパートナーとして経営戦略の策定段階から深く関与し、人材の側面から事業成長に貢献していく「役割」や「機能」を指す言葉です。
つまり、人材戦略が「計画そのもの」を指すのに対し、戦略人事は「その計画を主導し、実行していく人事部門のあり方」を意味します。
優れた人材戦略を立案し、実行するためには、人事部門が戦略人事の役割を担うことが不可欠です。
両者は、計画と実行主体という関係にあります。
人的資本経営との関係性:投資か、活用か
人的資本経営とは、人材を「コスト」ではなく、企業の持続的な価値向上の源泉となる「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すために積極的に投資していく経営のあり方そのものを指します。
近年、投資家からも企業の人的資本に関する情報開示が求められるなど、その重要性は増しています。
人材戦略は、この人的資本経営を実現するための中核的な計画です。
つまり、人的資本経営という大きな方針の下で、「具体的にどのような人材に、どのように投資し、活用していくのか」を詳細に描く設計図が人材戦略であるといえます。
今、多くの企業で人材戦略の重要性が高まる3つの背景
近年、多くの日本企業で人材戦略の見直しや再構築が急務とされています。
その背景には、個々の企業の努力だけでは抗いがたい、社会構造の大きな変化があります。
ここでは、特に重要となる3つの背景について解説します。
これらの課題を自社の状況と照らし合わせることで、人材戦略の必要性がより明確になるはずです。
背景1:労働人口の減少と採用競争の激化
日本の生産年齢人口(15~64歳)は、1995年をピークに減少を続けており、今後もこの傾向は加速すると予測されています。
内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、2050年には5,275万人にまで減少する見込みです。
この構造的な課題は、企業にとって採用活動の難易度を格段に引き上げています。
特に専門スキルを持つ人材や若手人材の獲得競争は激化の一途をたどっており、従来のような画一的な採用手法だけでは、事業に必要な人材を確保することが困難になりました。
限られた人材をいかにして惹きつけ、定着させるかという戦略的な視点が不可欠です。
背景2:働き方の多様化と従業員の価値観の変化
終身雇用や年功序列といった日本的雇用システムが変化し、個人のキャリア観は大きく多様化しました。
転職は当たり前の選択肢となり、一つの会社に勤め上げることだけが成功モデルではなくなっています。
加えて、リモートワークの普及は、働く場所や時間の柔軟性を高めました。
こうした変化の中で、従業員は給与や待遇といった金銭的報酬だけでなく、仕事のやりがい、成長機会、良好な人間関係、企業理念への共感といった非金銭的な価値を重視する傾向が強まっています。
従業員一人ひとりのエンゲージメントを高め、会社との結びつきを強化する人材戦略が求められています。
エンゲージメントスコアについては「エンゲージメントスコアの意味と測り方」で詳しく紹介しています。
背景3:「モノ」から「人」へ、企業価値の源泉の変化
現代のビジネス環境において、企業の競争力の源泉は、工場や設備といった有形資産から、技術力、ブランド、顧客ネットワーク、そして「人」が持つ知識やスキルといった無形資産へと大きくシフトしています。
特に、イノベーションの創出や新たな事業モデルの構築は、従業員の創造性や主体性なくしては成し遂げられません。
このような背景から、人材を単なる労働力(コスト)としてではなく、価値創造の源泉(資本)と捉える「人的資本経営」の考え方が広まっています。
企業の持続的な成長を実現するためには、人材の価値を最大限に引き出す戦略的な投資と活用が経営の最重要課題となっています。
人的資本経営とDEIBの基礎知識については「DEIB基礎知識 経営戦略としての DEIB」で詳しく紹介しています。
人材戦略を策定・実行することで得られる4つのメリット
場当たり的な人事施策ではなく、練られた人材戦略を策定し、着実に実行していくことは、企業に多くのメリットをもたらします。
それは単に人事部門の業務が整理されるというレベルの話ではありません。
企業の根幹を強くし、持続的な成長を可能にするための重要な目的が含まれています。
ここでは、代表的な4つのメリットについて解説します。
メリット1:経営戦略の実現性が飛躍的に向上する
最大のメリットは、経営戦略が「絵に描いた餅」で終わることを防ぎ、その実現性を格段に高められる点です。
例えば、「5年後に海外売上比率を50%にする」という経営戦略を掲げたとしても、それを実行できるグローバル人材がいなければ達成は不可能です。
人材戦略を策定することで、経営戦略の達成に必要な人材要件(スキル、経験、人数)が明確になり、その要件を満たすための採用・育成・配置を計画的に進めることができます。
経営の目標と、それを支える「人」の計画が連動することで、戦略実行の確実性が増します。
メリット2:従業員エンゲージゲージメントが高まり離職率が低下する
人材戦略に基づいて、従業員のキャリアパスや育成方針、公正な評価制度が明確に示されると、従業員は自身の将来像を描きやすくなります。
自分が会社から何を期待され、どのように成長できるのかが分かれば、仕事に対するモチベーションやエンゲージメントは自然と高まります。
実際に、エンゲージメント向上の取り組みを行っている企業は、そうでない企業に比べて社員の定着率が高いというデータもあります。
エンゲージメントの向上は、従業員の満足度を高め、意欲的な人材の流出を防ぐことにつながります。
メリット3:企業の魅力が高まり優秀な人材を獲得しやすくなる
戦略的な人材育成の仕組みや、多様な人材が活躍できる制度、キャリアアップの機会が整っていることは、求職者にとって大きな魅力となります。
特に優秀な人材ほど、自身の成長機会を重視する傾向にあります。
「この会社に入れば成長できる」「長期的なキャリアを築ける」という期待感が、採用市場における企業の競争力を高めるのです。
人材戦略に基づいた一貫性のあるメッセージを社外に発信することは、採用ブランディングの強化につながり、質の高い母集団形成を可能にします。
結果として、優秀な人材の採用がしやすくなります。
採用ブランディングの秘訣については「失敗しない採用ブランディングの秘訣」で詳しく紹介しています。
メリット4:変化に対応できる組織風土が醸成されイノベーションが生まれる
VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代と呼ばれる現代において、企業には市場の変化に迅速かつ柔軟に対応する力が求められます。
人材戦略を通じて、自律的な学習文化や挑戦を奨励する風土を醸成することは、組織全体の適応力を高めます。
例えば、リスキリング(学び直し)の機会を提供したり、失敗を許容し挑戦を称賛する評価制度を導入したりすることで、従業員は変化を恐れず、新しい価値創造に積極的に取り組むようになります。
こうした組織風土は、新たなイノベーションを生み出す土壌となり、企業の持続的な成長を支える組織戦略の根幹となります。
【5ステップで解説】実効性の高い人材戦略の立て方
実際に人材戦略を策定する際には、どのような手順で進めればよいのでしょうか。
ここでは、人材戦略の立て方をいくつかのステップに分けて解説します。このステップに沿って検討を進めることで、自社の状況に合った、具体的で実現可能な立案・策定が可能になります。
ステップ1:経営理念・事業戦略を深く理解する
人材戦略策定の出発点は、自社の経営理念やビジョン、そして中期経営計画などの事業戦略を深く理解することです。
会社がどこを目指しているのか、どのような価値観を大切にしているのか、今後、どの事業領域に注力し、どのような目標を達成しようとしているのか。
これらの上位方針を正確に把握しなければ、それを支えるための人材戦略を描くことはできません。
経営層へのヒアリングや経営計画書の読み込みを通じて、会社が進むべき方向性を完全に理解することが最初のステップです。
ステップ2:事業戦略から理想の人材像・組織像を定義する
次に、ステップ1で理解した経営・事業戦略を実現するためには、「どのような人材が、どのような組織構造の中で活躍している状態が理想か」を具体的に定義します。
理想の人材像:新規事業開発を担うリーダー、特定の専門技術を持つスペシャリスト、海外拠点をマネジメントできるグローバル人材など、必要な人材の役割、スキル、経験、マインドセットを明確にします。
理想の組織像:各部署の役割や人員構成、部門間の連携のあり方など、事業戦略の実行に最適な組織の形を構想します。
この段階で、将来のあるべき人材配置の青写真を描くことが重要です。
ステップ3:現状の人材・組織を可視化しギャップを分析する
理想の姿を定義したら、次は「現状」を客観的に把握します。
人事データ、スキルマップ、サーベイ、従業員面談などを通じて、現在の人材・組織の状態を可視化します。
このステップの目的は、ステップ2で定義した「理想」と「現状」の間に存在するギャップ(課題)を明らかにすることです。
人材のギャップ:「次世代リーダー候補が不足している」「DX推進に必要なデジタル人材がいない」など
組織のギャップ:「部門間の連携が弱く、サイロ化している」「従業員のエンゲージメントが低い」など
このギャップこそが、人材戦略で解決すべき核心的な課題となります。
可視化のポイント:スキルや経験だけでなく価値観も把握する
現状分析を行う際は、従業員のスキルや資格、経歴といった定量的なデータだけでなく、キャリアに対する考え方や働きがいを感じるポイント、価値観といった定性的な情報も把握することが重要です。
エンゲージメントサーベイや1on1ミーティングなどを活用し、従業員の内面を理解することで、より本質的な課題の発見につながります。
形式的なデータだけでは見えてこない、組織のリアルな状態を捉える視点が求められます。
ギャップ分析のポイント:過不足を量と質の両面から明らかにする
理想と現状のギャップを分析する際は、「量」と「質」の両面から課題を捉えることが不可欠です。
「量」のギャップとは、「〇〇のスキルを持つ人材が〇人不足している」といった人員数の過不足です。
「質」のギャップとは、「管理職層のリーダーシップが不足している」「若手社員の主体性が低い」といった能力や意識の課題を指します。
これらのギャップを具体的に特定することで、次のステップで検討する人事施策の精度が高まります。
ステップ4:ギャップを埋めるための具体的な人事施策を立案する
ステップ3で明らかになったギャップを解消するための具体的なアクションプラン、つまり人事施策を立案します。
施策を検討する際には、「採用」「育成」「配置」「代謝」という4つの要素を網羅的に考えることが重要です。
採用:不足している人材を外部から獲得するための採用計画育成:既存社員のスキルアップや能力開発を促す研修・教育制度配置:適材適所を実現するための異動・配置転換のルール代謝:組織の新陳代謝を促すための退職・再雇用に関する制度
これらの施策を組み合わせ、ギャップを埋めるための最適なシナリオを設計します。
施策の4要素(採用・育成・配置・代謝)を網羅する
人材戦略における具体的な施策は、主に以下の4つの要素で構成されます。これらのバランスを考慮して計画を立てることが重要です。
採用:新卒採用、中途採用、リファラル採用など、必要な人材を外部から獲得するための手法を計画します。
育成:OJT、Off-JT(研修)、e-learning、メンター制度、キャリア開発支援など、社員の能力を引き上げるための施策を設計します。
配置:事業計画に基づき、社員のスキルや経験、キャリア志向を考慮した最適な人材配置や異動、昇進・昇格の基準を定めます。
定着:組織の活性化とパフォーマンスの維持・向上のため、従業員エンゲージメントの向上、キャリアパスの提示、適正な評価制度の運用、ワークライフバランスの支援などを検討します。
これらの要素を体系的に組み合わせることが、実効性のある人材戦略につながります。
ステップ5:KPIを設定し実行と効果検証(PDCA)を繰り返す
最後は、立案した施策を実行し、その効果を定期的に検証・改善していくフェーズです。
人材戦略は一度策定したら終わりではありません。
ビジネス環境の変化や施策の進捗状況に応じて、常に見直しが必要です。
KPIの設定:「離職率」「エンゲージメントスコア」「従業員一人当たりの研修時間」「次世代リーダー候補者数」など、戦略の目標達成度を測るための重要業績評価指標(KPI)を設定します。
PDCAサイクルの実行:定期的にKPIの進捗を確認し(Check)、計画と実績の差異を分析。
その結果に基づき、施策の改善や新たな打ち手を検討し(Action)、次の計画(Plan)に反映させます。
この継続的な運用・マネジメントこそが、人材戦略を成功に導く鍵となります。
人材戦略の立案に役立つ代表的なフレームワーク3選
人材戦略の立案プロセスでは、客観的な分析や論理的な思考が求められます。
その際に役立つのが、思考を整理し、課題を構造化するためのフレームワークです。
ここでは、人材戦略の立案、特に現状分析や課題設定のフェーズで活用できる代表的なフレームワークを3つ紹介します。
SWOT分析やロジックツリーなどを活用することで、より精度の高い戦略策定が可能になります。
SWOT分析:自社の強み・弱みを人材戦略に活かす
SWOT分析は、自社を取り巻く環境を「内部環境」と「外部環境」に分け、それぞれをプラス要因とマイナス要因に分類して分析するフレームワークです。
S(Strength:強み):従業員のエンゲージメントが高い、専門性の高い技術者が多いなど
W(Weakness:弱み):次世代リーダーが育っていない、デジタル人材が不足しているなど
O(Opportunity:機会):DX化による市場拡大、働き方改革関連法の施行など
T(Threat:脅威):労働人口の減少、競合他社による人材引き抜きなど
これらの要素を掛け合わせる(クロスSWOT分析)ことで、「自社の強みと市場の機会を活かして、どのような人材戦略をとるべきか」といった具体的な戦略オプションを導き出すことができます。
人材ポートフォリオ:必要な人材タイプを可視化し配置を最適化する
人材ポートフォリオは、従業員を特定の2つの軸で分類・可視化し、人材構成の現状とあるべき姿を分析するためのフレームワークです。
軸の取り方は様々ですが、例えば以下のような組み合わせが考えられます。
軸1:事業への貢献度(現在vs将来)軸2:専門性の広さ(スペシャリストvsジェネラリスト)
このフレームワークを用いることで、「将来の事業を担う中核人材が不足している」「スペシャリストは多いが、組織を横断してマネジメントできる人材が少ない」といった人材配置の課題が明確になります。
その結果に基づき、各人材タイプに応じた採用・育成・配置の方針を立てることが可能になります。
ロジックツリー:課題を分解し具体的な打ち手を導き出す
ロジックツリーは、ある大きな課題を、樹木の枝が分かれるように小さな要素へと分解していくことで、問題の構造を可視化し、真の原因や具体的な解決策を見つけ出すための思考ツールです。
例えば、「若手社員の離職率が高い」という課題をテーマにした場合、
第1階層:「仕事内容への不満」「人間関係への不満」「労働環境への不満」「キャリアへの不安」などに分解。
第2階層:さらに「仕事内容への不満」を「裁量権が小さい」「成長実感が得られない」などに分解。
このように課題を深掘りしていくことで、根本的な原因が特定でき、「裁量権を増やすための権限移譲」や「成長を実感させるための1on1面談の強化」といった、的を射た具体的な打ち手を導き出すことができます。
このフレームワークは、課題解決策を論理的に整理する際に非常に有効です。
人材戦略で組織変革を実現した企業の成功事例
ここでは、実際に人材戦略を効果的に実行し、組織変革や事業成長を実現した企業の成功事例を3つ紹介します。
他社がどのような課題に対し、どのようなアプローチで取り組んだのかを知ることは、自社の戦略を考える上で大きなヒントになります。
これらの事例から、自社の組織戦略に応用できる要素を見つけてみてください。
事例1:データ活用で戦略的な人材育成・配置転換に成功した製造業
ある大手製造業では、事業の多角化に伴い「各事業に必要な専門人材が、どの部署にどれだけいるのか把握できていない」という課題を抱えていました。
そこで、タレントマネジメントシステムを導入し、全従業員のスキル、経歴、資格、研修履歴、さらにはキャリア志向といった情報を一元的に可視化。
この客観的データに基づき、将来の事業戦略と照らし合わせながら、戦略的な人材育成計画や配置転換を実行しました。
結果として、成長事業への迅速な人材供給が可能になっただけでなく、従業員一人ひとりのキャリア希望に沿った配置が実現し、エンゲージメントの向上にもつながりました。
事例2:独自のカルチャー採用でエンゲージメント向上を実現したIT企業
急成長を続けるあるIT企業では、離職率の高さが経営課題となっていました。
分析の結果、スキルは高くても企業の価値観や文化に馴染めない「カルチャーミスマッチ」が主な原因であることが判明。
そこで、採用選考のプロセスを大きく変更しました。
スキル評価に加えて、「自社のバリュー(価値観)を体現できるか」を重視する独自の「カルチャー採用」を導入。
面接では、応募者の過去の行動や意思決定の背景を深掘りし、自社の文化との親和性を慎重に見極めました。
この取り組みにより、入社後のミスマッチが大幅に減少し、従業員エンゲージメントと定着率の劇的な向上を実現しました。
事例3:全社的なリスキリング推進で事業のDX化を加速させたサービス業
市場のデジタル化の波に対応するため、DXを経営戦略の柱に据えたあるサービス業の事例です。
社内にはデジタル技術を使いこなせる人材が圧倒的に不足していました。
外部からの採用だけに頼るのではなく、既存社員の能力を最大限に活かす方針を決定。
「全社リスキリングプログラム」を立ち上げました。
データ分析、AI活用、デジタルマーケティングなど、多様なオンライン研修プログラムを全従業員に提供。
学習時間の一部を業務時間とみなすなど、会社として従業員の学びを強力に後押ししました。
この育成・研修施策の結果、多くの従業員が新たなデジタルスキルを習得し、各現場で業務改善や新規サービス開発を主導するようになり、事業のDX化を大きく加速させました。
企業のエンゲージメント向上を支援するJTBのHRプログラム
人材戦略を成功させる上で、従業員のエンゲージメント向上は欠かせない要素です。
JTBコミュニケーションデザインでは、長年の知見を活かした独自のHRプログラムを提供しています。
例えば、従業員のモチベーションを可視化するサーベイや、階層別の研修、チームビルディングを目的としたイベントなど、企業の課題に合わせて様々なソリューションを組み合わせることが可能です。
心に訴えかける感動体験や実感価値を提供することで、従業員のエンゲージメントを高め、組織の一体感を醸成するお手伝いをします。
JTBコミュニケーションデザインのHRプログラムについては「JTBコミュニケーションデザインのソリューション」で詳しく紹介しています。
人材戦略に関するよくあるご質問
ここでは、人材戦略に関して、経営者や人事担当者の皆様からよく寄せられる質問とその回答をご紹介します。
人材戦略を立てる上で最も重要なことは何ですか?
最も重要なのは「経営戦略との一貫性」です。
人材戦略は、それ自体が目的ではなく、あくまで経営目標を達成するための手段です。
自社のビジョンや事業戦略の方向性と完全に連動しているか、常に立ち返って確認する考え方が不可欠です。
人材戦略と人事戦略は、どちらを優先して考えるべきですか?
目的である「人材戦略」を先に策定すべきです。
どのような人材・組織を目指すか(人材戦略)を明確にした上で、それを実現するための具体的な制度や仕組み(人事戦略)を設計するという順序で考えるのが正しいアプローチです。
中小企業でも人材戦略は必要ですか?どこから始めればよいでしょうか?
はい、企業規模に関わらず必要です。
まずは経営者が自社の将来像と、そこに至る上での人材面の課題を明確に言語化することから始めましょう。
全従業員を対象にしたアンケートや対話の場を設け、現状を把握する立て方が有効な第一歩となります。
まとめ:経営と連動した人材戦略で、企業の持続的成長を実現しましょう
本記事では、人材戦略の定義から、その重要性、具体的な立て方、フレームワーク、成功事例までを解説しました。
人材戦略は、単なる人事部門の計画ではなく、企業の未来を創るための経営の中核をなすものです。
変化の激しい時代を乗り越え、企業が持続的に成長していくためには、経営戦略と深く連動した、実効性のある人材戦略が不可欠です。
まずは自社の経営理念や事業戦略を再確認し、理想の人材・組織像を描くところから始めてみてはいかがでしょうか。